選択的夫婦別姓制度 ― 2024年06月24日

経団連会長の選択的夫婦別姓制度早期実現提言を受け、魚谷ダイバーシティ推進委員長(資生堂会長)は法制化についてこう述べた。「国民意識や社会環境の変化を受け、迅速な議論と決定が求められている。先延ばしできない最重要課題だ。自らの姓を選択できる社会制度への見直しは、キャリアやアイデンティティーを守る観点からも重要である。」しかし、商売繁盛を目的に提案する経団連が唐突に別姓制度に言及する意図は不明確であり、ヤラセ感も否めない。現在の喫緊の社会課題は物価高や減税、給与引き上げによる可処分所得増加であり、経団連はまずこれらに言及すべきではないか。消費税増税を主張し、役員が60歳を超える男性社長ばかりの団体から「キャリアやアイデンティティーを守れ」など上から目線で言われるのは心外である。
夫婦別姓に反対する保守派は日本の伝統を守ると主張するだろう。しかし、2700年の歴史の中で姓が定着した明治以降の150年程度を「伝統」と呼ぶのは無理がある。大人の事情で子供たちを巻き込み、家族の一体感が失われるという理屈は、姓がなかった2500年の伝統では通用しない。子供の姓が変わってかわいそうだという意見もあるが、婚姻件数に対する離婚件数の割合は3割を超えており、この割合に準じて子供の姓は変えられている。戸籍制度こそアイデンティティーの根拠という意見もあるが、戸籍制度変更を主張しているわけではない。旧姓を選択したい人と、子供の姓もどちらか一方にわざわざ選択したい人や家族同一姓をわざわざ否定したい人が、社会に影響を与えるほど存在するとは考えにくい。ただ、喫緊の課題は憲法改正や再エネ賦課金廃止などであり、これらの決着後に議論すべきではないか。旧姓使用は公的文書でも使用可能と法令も出されその運用も広がりつつある。親子別姓にまで及んで民法を変えたい理由は、国民に分断を持ち込んで安全保障や物価高の課題を目くらましにする意図があるのではないかと疑わざるを得ない。
夫婦別姓に反対する保守派は日本の伝統を守ると主張するだろう。しかし、2700年の歴史の中で姓が定着した明治以降の150年程度を「伝統」と呼ぶのは無理がある。大人の事情で子供たちを巻き込み、家族の一体感が失われるという理屈は、姓がなかった2500年の伝統では通用しない。子供の姓が変わってかわいそうだという意見もあるが、婚姻件数に対する離婚件数の割合は3割を超えており、この割合に準じて子供の姓は変えられている。戸籍制度こそアイデンティティーの根拠という意見もあるが、戸籍制度変更を主張しているわけではない。旧姓を選択したい人と、子供の姓もどちらか一方にわざわざ選択したい人や家族同一姓をわざわざ否定したい人が、社会に影響を与えるほど存在するとは考えにくい。ただ、喫緊の課題は憲法改正や再エネ賦課金廃止などであり、これらの決着後に議論すべきではないか。旧姓使用は公的文書でも使用可能と法令も出されその運用も広がりつつある。親子別姓にまで及んで民法を変えたい理由は、国民に分断を持ち込んで安全保障や物価高の課題を目くらましにする意図があるのではないかと疑わざるを得ない。