福一原発デブリ取り出し延期2024年08月22日

放射能デブリ取り出しロボットアーム
福島第一原子力発電所2号機での燃料デブリの試験的取り出しを本日予定していたが、操作手順のミスにより着手できなかった。再開日は未定という。2011年の事故で1号機から3号機までに約880トンの燃料デブリが存在すると推定されている。試験的取り出しは、事故後初めて燃料デブリを敷地外に持ち出し、研究機関で分析することを目的としている。燃料デブリは高い放射線量を持ち、人が直接近づけないため、廃炉作業の中でも最難関とされている。試験的取り出しは当初2021年に予定されていたが、ロボットの経路に堆積物が詰まるなどの問題で3回延期された。約78億円をかけて新しいロボットを制作したという。試験用の耳かき程の燃料デブリも取り出せず十余年が経過した。炉心溶解という原発ではあってはならない事故が起こった原因は、耐震構造や炉心設計上の高度な問題ではなく、極めて単純な過失だった。

冷却水は原発にとっては生命線だ。冷却水を循環させるポンプの電力が失われれば格納容器が高温になり核燃料とともに溶解を起こすのは誰でもわかっていた。わかっていたのに、緊急電源の発電機を水が被る地下に設置し、事故が起こるまでの40年間誰も問題にしなかったことにある。地下に設置する仕様はアメリカの竜巻対応設計という。東北沿岸の地理的リスクを考慮せずに発電機の配置設計まで輸入した結果だ。原発建設の10年前にはチリ地震で8mを超える津波が来ていたのに防潮堤の高さも5mだった。危険を察知した人は必ずいたはずだ。大東亜戦争然り科学や合理性をないことにしてしまう日本人の同調性圧力は恐ろしい。事故後未だに続く全国の原発停止も再エネ電力政策も同じ理屈だ。強い意見に同調してしまい異議が言えず異論が受け入れられない日本人の同調気質が原因だ。科学的リテラシーがPISAトップというが聞いてあきれる。リスクリテラシーをはかるテストはないものか。
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