金子みすず2023年11月13日

萩阿武川温泉公園キャンプ場の朝は日がさしたが山川から冷たい風が吹き下ろしてくるとあっという間に時雨れた。長門に向かうが雨は北から南下して雨に向かって走っている。ここでも遊覧船は諦めて、金子みすず館で豪雨をやり過ごす。美しい誌を書く金子は天真爛漫という代名詞が似合うが、その心は人生の葛藤に耐えきれず苦しみから逃げた一人の弱き母親であった。1930年3月10日、睡眠薬を飲み26歳という若さを閉じた。母と4歳の娘・ふさえと3人で神社に行き、桜餅を食べてあたたかい時間を過ごし、娘をお風呂に入れ、ぐっすり眠った娘の寝顔を見て「かわいい顔して寝とるね」とつぶやいたのが最期の言葉だった。枕元に自身が写った写真の預り証と、3通の遺書を置き残し大量の睡眠薬を服薬して自死。

あの天使のような詩を奏でる作者がこのような人生を選ぶと言うコントラストはまさに人生の光と影だと思う。元乃隅神社の潮吹きを見て橋を渡って角島灯台、秋吉台へのワインディングロードを終えた頃にようやく雨が上がった。旅の途中で立ち寄った大山寺は30cmの積雪だったらしい。