伝説の侍「弥助」ゲーム2024年07月26日

フランスのUBIソフトが、人気アクションゲームシリーズの新作「Assassin's Creed Shadows(アサシン クリード シャドウズ)」を秋に発売すると発表した。今回は戦国時代の日本が舞台となっている。これに対し、「歴史改変」や「雑な日本描写」といった批判の声が上がり、発売中止を求める署名活動が10万筆に迫る勢いで進んでいる。「シャドウズ」では、伝説の侍「弥助」と女忍者の「奈緒江」がキャラクターとして登場する。弥助は織田信長の荷物持ち(従者)であった黒人で、信長の死後は記録が残っていないが、実在した人物である。ゲームでは、弥助を強靭な黒人サムライとして描いている。女忍者の「奈緒江」はフィクションのキャラクターだ。史実とフィクションを混在させるのはエンターテインメントの常道だが、UBIソフト側が「日本の専門家が監修した」とし、史実に沿っていると弁明したため、さらに炎上が激しくなった。

弥助は織田信長や戦国時代を描くドラマや映画にも登場し、NHKドラマ「軍師官兵衛」や最近では北野武監督の映画「首」で副島淳が演じ、その存在は戦国ドラマファンにはよく知られている。国産ゲームでも『信長の野望・創造』では英雄戦士キャラとして、『戦国無双5』では忠誠心篤き青年キャラとして登場する。しかし、これらの国産エンターテインメント作品も正確に弥助を描いているとは言えない。今回は海外制作であるため、非難が集中している印象がある。「京急蒲タコハイ駅」や「コロンブスMV問題」と同じく、ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)運動の影響を感じる。日本人が日本の歴史を正しく捉えてほしいという願いは理解できるが、批判にとどめ嫌なら買わなければよい。批判によって制作側が不利だと判断すれば撤退するだろう。ポリコレ圧力によって表現を封じようとするのはフェアなやり方ではない。