選挙公約通りのトランプ2025年03月03日

選挙公約通りのトランプ
トランプ大統領とゼレンスキー大統領がロシアへの外交姿勢を巡る対立から激しい口論に発展し、予定されていた合意文書への署名は見送られた。ウォルツ大統領補佐官はテレビ番組でゼレンスキー大統領の態度を「信じられないほど無礼」と批判し、ウクライナには戦争終結のための交渉に前向きな指導者が必要だとの認識を示した。また、戦争を終わらせるためには領土に関する妥協が避けられないと述べた。取材によると、トランプ政権の幹部は口論後に協議を打ち切るよう提言し、ウォルツ補佐官がウクライナ側に退席を求めた。ゼレンスキー大統領は議論の継続を希望したが、補佐官は「アメリカの寛容さには限界がある」と伝えた。メディアは一斉にトランプ氏の態度を非難し、ウクライナ支援への声を上げているが、大統領選時のオールドメディアによるトランプ叩きを思い出すと、メディアの見方が本当に正しいのか疑問に思う。ロシアがウクライナに侵攻したのは事実であり、1994年のウクライナの核放棄と引き換えに米英露が安全保障を約束した「ブダペスト覚書」からすれば、米国がウクライナを守るのは当然というゼレンスキーの主張も理解できる。しかし、トランプ政権にとっては、ゼレンスキーは米国民主党に踊らされ、米国の富を戦費につぎ込ませる道化に映っているのかもしれない。

アメリカはUSAIDやCIAを使い、反ロシア勢力を支援して両国の不安定化を煽り、ロシアのクリミア半島併合や東ウクライナでの親ロシア勢力への介入を誘発したとも言える。オバマ政権時代のバイデン副大統領は、金権腐敗したウクライナ政権と資源利権を巡ってリベートを得ていたとの疑惑もある。トランプにしてみれば紛争と汚職の原因につながるアメリカの世界覇権の動きを正常化したいのだろう。紛争原因になる国際策動やその背後で工作する行政機構を整理すると公約していたトランプにとって、今回の会談決裂は当然の帰結とも言える。戦争は終結すべきだがウクライナは支援しないというのもトランプの公約の一つだった。大統領選挙の真っ最中に、民主党大統領候補ハリス氏と握手したゼレンスキーの行動を現共和党政権が忘れているはずがない。今回、ゼレンスキーは会談の前に両党の有力議員から助言を得たとされる。共和党議員からは「資源提供の話だけして、安全保障には触れるな」と言われ、民主党議員からは「戦争協力と安全保障の約束を引き出すまで譲るな」と助言されたという。ゼレンスキーの言動を見ると、民主党議員の助言を信じたのだろう。そういう意味では、トランプは選挙公約通りに動いているだけであり、今回の破談もそれほど驚くことではなかった。もちろん、侵略しているのはロシアであり、祖国を守ろうとしているのはウクライナであることに変わりはない。しかし、トランプにとっては、どのような形でも戦争を終結させることが最優先であり、それ以外の選択肢はないのだと思う。

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