裸の王様の「空洞政治」2025年09月08日

裸の王様の「空洞政治」
石破茂首相がついに白旗を上げた。参院選の大敗から1カ月半。続投にしがみつき、最低賃金引き上げや米国との通商交渉で「仕事をしている感」を演出したが、もはや誰も耳を貸さなかった。党内の支持は瓦解し、総裁選前倒しの声に追い詰められ、ついに退陣…というより逃亡である。辞任のタイミングはあまりにも露骨だ。総裁選の意思確認が行われれば、石破支持派の議員が白日の下にさらされる。そうなればお仲間もろとも吹き飛ぶ危険があった。石破氏はそれを避け、投票直前で退陣を決断した。責任を取るポーズを取りながら、実はお仲間を守り、自分の生き残りの余地を残した。美談どころか、政治的保身の典型である。

これこそ石破政治の正体だ。口先は達者、理屈はこね回すが、実行力は皆無。党の方針に楯突いては注目を浴び、地位には執着。孤立しても「自分は改革派」と思い込む姿は、裸の王様そのものだ。周囲が冷笑しても本人だけは見えない服を着て歩いていた。国の舵取りを任せるに値しない人物を、なぜ首相にしたのか。答えは簡単だ。自民党の制度疲労である。派閥の計算、世論調査の人気、他候補の不在──すべて場当たり的な理由で石破を担ぎ上げた。資質も覚悟も度外視された結果が、この惨状だ。人材難では済まされない。政党としての公共性を放棄した自民党そのものの劣化だ。

だが野党も笑えない。石破が「解散も辞さず」と脅しをかけたとき、本来なら「望むところだ」と立ち上がるべきだった。ところが腰砕け、不信任案も出せず、対案すら示せない。気迫ゼロ、覚悟ゼロ。結局、石破延命に加担しただけだ。これでは政権交代の受け皿どころか、与党の付属物にすぎない。報道もまた同罪だ。辞任直前まで「石破支持派は多い」と現実離れした記事を垂れ流し、世論調査の数字を根拠に政局を語るだけ。結果として国民を欺き、政治の腐敗を助長した。公共空間の信頼性は地に落ちた。

この1カ月半は、政治も野党も報道も、そろって責任を放棄し、国民を裏切った「空白の時間」だった。石破辞任は幕引きではない。むしろ、政党もメディアも野党も劣化し尽くした日本政治の「空洞」を白日の下にさらしたのだ。