視覚認知2023年03月14日

最近英国の発達性ディスレクシアの原因に視覚認知障害の存在も認めるような論文が出たと日本発達性ディスレクシア研究会の宇野氏らは評価をしている。欧米ではこれまで音韻障害一本槍で視知覚障害が読み書き障害に関わるとは認めてこなかったという。漢字圏の我が国や東アジア圏の学者は読みには形状認識を伴うのだから視知覚の問題はあるだろうと言い続けやっと見解を一にしたという話だ。それはいいのだが、我が国の読み書き障害の現場レベルでは欧米とは逆に音韻障害を正当に扱ってこなかった経緯がある。視知覚に傾斜した支援方法が幅を利かせてきたと言える。確かに視知覚の支援は読み書きではやりやすい。それに比べ音韻意識は即座には第3者が把握することが難しい故に理解も広がりにくいからだ。しかし、ワシの現場経験では視知覚障害の単一の問題で読み書きに困難が生じているとは思えないのだ。ビジョントレーニングやコグトレの基本は視知覚経路の訓練なのだが、これで画期的に成果が上がった子どもはあまり見たことがない。

それが、宇野氏らの音韻障害論や聴覚(バイパス)法を用いた支援を支持することにつながった。読み書きが困難な子どもの多くは音韻(列)障害単一か、視知覚障害との併発ではないかと考えている。従って、日本全国に広がる視覚認知やそのワーキングメモリーに働きかける支援は大した効果が上がっていないのではないかと思われる。この3つの原因を調査した統計資料が見当たらないので確かなことは言えないが、少なくとも音韻の問題をアプローチしないような読み書き支援は眉唾だと考えている。そして、とにもかくにもまずはひらがなカタカナが流暢に読めるようになることを抜きにした様々な支援は絵に描いた餅である。