ロストケア ― 2023年03月28日
救ったのか殺したのかという問いかけ。映画を見る限りどちらも正解。検事の長澤まさみから見れば紛れもなく老人殺しは犯罪。介護に疲れ果てても、老人ホームに入れたくても生活に余裕がない家族にしてみれば寝たきり老人の殺害は松山ケンイチの「救い」。難病者薬殺、行動障害者惨殺、その家族との無理心中。弱いものに社会の歪は圧し掛かるというテーマだ。老人ホームで徐々に認知症が進行する検事の母と昔に別れた父は孤独死をする。検事はその父から20年ぶりに送られてきたメッセージを無視したことに苦しんでいる。被告の老人殺しの背景に向き合えば向き合うほど「正義」が分からなくなっていく。
貧しさと病で干からびた老人たちがスクリーンの向こうから訴えてくる。俺たちがどんな悪いことをしたと言うのだと。確かに家族は苦しみ途方に暮れ、中途半端な介護サービスを最後のよりどころにして耐えている。イエスが教えた行動の指針“黄金律”は「人からしてほしいと思うことは全て、人にもしなければなりません」。被告のアパートに残された聖書のこの言葉に赤線が引かれ、殺しを乞うた被告の父親の赤い折り鶴が添えられている。やりきれない映画であった。
貧しさと病で干からびた老人たちがスクリーンの向こうから訴えてくる。俺たちがどんな悪いことをしたと言うのだと。確かに家族は苦しみ途方に暮れ、中途半端な介護サービスを最後のよりどころにして耐えている。イエスが教えた行動の指針“黄金律”は「人からしてほしいと思うことは全て、人にもしなければなりません」。被告のアパートに残された聖書のこの言葉に赤線が引かれ、殺しを乞うた被告の父親の赤い折り鶴が添えられている。やりきれない映画であった。