グリーンランドを売れ2025年01月09日

グリーンランドを売れ
トランプ次期米大統領は、7日の記者会見でグリーンランドとパナマ運河の獲得についての質問に対し、可能性を否定せず、両地域がアメリカの経済的・軍事的安全保障に必要だと述べた。グリーンランドはデンマークの自治領で、レアアース埋蔵量や軍事拠点としての重要性から注目されているが、デンマーク側は領土放棄を否定。同地を訪問したトランプ氏の長男も地元住民との交流を強調したが、デンマークのフレデリクセン首相はグリーンランドは「売り物ではない」と表明した。また、トランプ氏はパナマ運河が「中国に運営されている」と主張し、アメリカへの管理権奪還の必要性を訴えた。しかし、パナマ側はこれを否定し、中国の関与についても事実無根と反論。パナマ運河は1900年代初頭にアメリカが建設し、1977年の条約に基づいてパナマに移管された経緯があるが、トランプ氏はこれを「大きな間違い」と批判した。さらに、トランプ氏はアメリカとカナダの合併にも言及し、国境を「人為的」としながら、カナダからの輸入品を批判。カナダのトルドー首相は合併の可能性を完全に否定した。こうしたトランプ氏の発言が交渉戦略か現実的な政策かは不透明だが、領土拡大や資源確保への意欲が浮き彫りになっている。その他、会見ではメキシコ湾の名称変更提案や風力発電への批判も話題となっている。いつものトランプ流のディール政治だと感じる。確かに、ロシアや中国が好き勝手に領土拡大や弱小国への買収戦略を続けている中で、先進国が「遺憾」と発言を繰り返すだけでは、独裁国家による覇権主義を止めることはできないのが現実だ。

当事者国や先進国は口をそろえてトランプの横暴を批判している。しかし、トランプは先進国の本音を代弁しているに過ぎない。もしグリーンランドに中露が進出や侵攻すれば、NATOにはそれを抑える手立てはない。北極や大西洋の航路・空路が制圧される未来は容易に想像できる。また、パナマ運河も中国資本に牛耳られ、莫大な通行税が課されることで先進国の輸送コストが膨れ上がっている。亡くなったカーター大統領の時代には、中国が中南米に進出してくるなど想像もしなかったのだろう。しかし、半世紀を経て中国はアメリカの喉元を押さえるまでに至っているのが現実だ。アラブではスエズ運河や紅海、アラビア海がイスラム過激派による海賊行為で危険にさらされているが、その背後で糸を引いているのは中露だ。国連も、中露が常任理事国としてそっぽを向けば、その役割は極めて限定的にならざるを得ない。欲しい土地には手を上げる――それが、不動産業者であるトランプの流儀なのだろう。黙っていれば無法者が支配する世界で、パワーバランスは動かない。

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