実質賃金減少2025年03月10日

実質賃金減少
厚生労働省の発表によると、1月の現金給与総額は前年同月比+2.8%であり、前月の+4.4%から低下した。基本給に相当する所定内賃金は+3.1%に上昇したが、ボーナスなどの特別給与が減少したため、現金給与総額の伸び率は鈍化した。消費者物価指数は+4.7%となり、実質賃金は-1.8%となり、3か月ぶりに低下した。賃金上昇率の基調は3%弱と見られるが、消費者物価の上昇率は約3%と推定される。今年の春闘では賃上げ率が5.2~5.3%と前年をやや上回る見込みであり、賃金上昇の影響は今後波及すると考えられる。実質賃金の小幅マイナスは続くものの、夏頃にはわずかなプラスが定着する見通しである。しかし、改善幅は小さく、個人消費の本格的な回復には不十分であると見られる。家人が定期預金の利率が倍に上がったと言うので、利率を聞いたところ、0.2%が0.4%に上がったとのことである。1万円で20円が40円になったわけである。一方、キャベツはこの1年で200円から500円と倍以上の高騰を見せており、焼け石に水とはまさにこのことであろう。実質賃金はこの5年間で5%近く減少している。つまり、賃上げ要求が史上最高だと言われているが、5%を超えるのは当たり前であり、5年間の損失を考慮すれば、10%程度の賃上げがなければ生活の質は改善しないというのが現実である。春闘で行われている交渉は、何ともみみっちいものであると感じざるを得ない。

3月1日のブログ「日本経済の死角」では、「この25年間で生産性は約30%向上したが、実質賃金は逆に3%減少した」と述べ、生産性向上に見合った賃上げが必要であると指摘した。試算では650万円程度が適正水準になると考えられる。つまり、現在の430万円に5割増しの220万円を積み上げれば、25年間の生産性上昇に見合った賃金水準となるのである。賃上げ50%と言えば、頭がおかしいと思われるかもしれないが、実際には企業の内部留保は25年前の300兆円から600兆円に膨れ上がっており、そのうちの約2割、100兆円を労働者に還元するよう求めているにすぎない。つまり、大企業には賃上げするだけの体力が十分にある。賃上げの正常化によって、インフレにも対応でき、GDPも上昇し、貿易も正常化し、税の減収も気にする必要がなくなる。何より家計が潤えば、不思議な教育の一律無償化を実施しなくても少子化に歯止めがかかるであろう。日本は先進国の中で最悪の収奪国と言われているが、その汚名を返上することができるはずである。当たり前のことを普通に取り組む政権が早急にできることを願う。

コメント

トラックバック

Bingサイト内検索