「光る君へ」最終回 ― 2024年12月16日

女優・吉高由里子主演のNHK大河ドラマ「光る君へ」最終回。主人公まひろ(吉高)は乙丸(矢部太郎)と旅に出る途中、馬に乗った武者たちと遭遇し、その中に双寿丸(伊藤健太郎)の姿を見つける。双寿丸は「東国で戦が始まり、朝廷の討伐軍に加わる」と語り、まひろは「気を付けてね」と別れを告げる。彼の背中を見送りながら「嵐が来るわ」とつぶやくまひろのアップ画像が静止する。一瞬テレビがフリーズしたのかと驚いた。これで終わりなのだと気が付くのに時間を要す予想外の幕切れであった。「東国で戦」とは、平忠常の乱を指す。これは関東で勢力を持っていた地方貴族・忠常による反乱で、1028年から約3年間続いた。この戦いは、地方武者たちが力をつけ、武士社会へと移り変わっていく変化の象徴といえる。 死に際の道長を介抱するまひろとの会話では、道長が「この世は何も変わっていない。オレは一体何をやってきたのであろうか」と自嘲する。これに対し、まひろは「戦のない泰平の世を守られました。見事な御治世でありました。源氏の物語は、あなたさまなしでは生まれませんでした」と、藤原一族が統治した長い平和が、源氏物語をはじめとする文化の隆盛の礎を築いたのだと返す。このやりとりは、激動する社会の到来を予感させるクライマックスへの伏線ともなっている。
大河ドラマは坂本龍馬が好きだったので2010年の「龍馬伝」から観るようになったが、井伊直弼を描いた1963年の「花の生涯」から63作が続いている。戦国時代や明治維新に関わるドラマの方がダイナミックで見ごたえがあって良いのだが、今回のような戦のない貴族社会を描くドラマ展開も描き方によっては面白いことに気が付いた。源氏物語はまどろっこしくて読む気にならないが、紫式部や藤原道長を重ねるとなかなか面白い。謎の女流作家藤式部のキャラクターを引き立てたのは吉高由里子の演技によるところが大きいが、ラブストーリーの大家である大石静の脚本があってのことだと思う。
大河ドラマは坂本龍馬が好きだったので2010年の「龍馬伝」から観るようになったが、井伊直弼を描いた1963年の「花の生涯」から63作が続いている。戦国時代や明治維新に関わるドラマの方がダイナミックで見ごたえがあって良いのだが、今回のような戦のない貴族社会を描くドラマ展開も描き方によっては面白いことに気が付いた。源氏物語はまどろっこしくて読む気にならないが、紫式部や藤原道長を重ねるとなかなか面白い。謎の女流作家藤式部のキャラクターを引き立てたのは吉高由里子の演技によるところが大きいが、ラブストーリーの大家である大石静の脚本があってのことだと思う。